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法要2022年04月19日

海洋散骨を希望する前に知っておきたいこと

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家族が亡くなると、葬儀を営み墓地に埋葬するのが従来の形式でした。しかし近年は、核家族化や少子高齢化、離郷、価値観の変化といった理由から弔い方も変わりつつあります。
本記事では、新しい供養の形として注目を集める「海洋散骨」のマナーやルールを解説します。

1. 海洋散骨とは

海洋散骨は、遺骨を海に撒く弔い方で、故人の遺骨を粉状に砕き、山や海などの自然に撒く自然葬のひとつ。墓所の維持や管理などの費用がかからないのが特徴です。
自然葬は他にも、墓石の代わりに樹木を植えて埋葬する「樹木葬」や、ヘリコプターやセスナ機から空中に散骨する「空中葬」、遺灰を納めたカプセルをロケットで打ち上げる「宇宙葬」などがあります。
それらに共通するのは、海や山、空などに遺灰を撒くことで自然の中に溶け込み、土の肥育や生物の成長に貢献できること。最終的に遺灰は分解されて自然と一体化するため、環境に優しい葬送ともいえるでしょう。
自然葬が注目されるようになったのは、現代の窮屈な生活から抜け出し自然に還りたいと望む人が増えたからだと考えられます。また、家族の在り方の変化や、景気の悪化、エコロジーの広まりといった時代の流れも、自然葬が広がった所以のひとつといえるでしょう。

1-1. 海洋散骨はどんな人が選ぶの?

海洋散骨を選択する理由として、まず海への愛着が挙げられます。昨今は、墓地利用できる土地が減少しているため、エコの観点もありうるでしょう。経済的な問題で海洋散骨を選ぶ人もいます。
子どもや家族にお墓の管理で負担をかけたくない。墓所の継承者がおらず墓終いを考えている。そういった人にとっても、海洋散骨は選択肢のひとつです。
さらに弔いの形や宗教へのこだわりがないなど、さまざまなケースが考えられますが、いずれにしても「家」がお墓を継いでいく、従来の家制度への価値観の変化が共通して見えてきます。

1-2. 海洋散骨に必要な手続きや準備とは?

ここでは、業者のサービスを利用する場合を想定し、海洋散骨の手続きについてご説明します。
個人での散骨も可能ですが、遺骨を粉状にする粉骨や、散骨ポイントの確定、船のチャーターなどの作業は、業者に頼むほうがより間違いが少ないからです。
散骨にあたり、自治体への届け出や法的な手続きは必要ありません。業者によっては火葬(埋葬)許可証を提出する場合がありますが、書類の手続きはサービスに含まれていることもあります。
遺骨を入れる水溶性の袋や、遺骨の流れを知るために散骨時に撒き添える花びらは無料で配られることがほとんどで、献花や献酒も大抵プランに含まれています。

1-3. 海洋散骨の法的な規制とは?

海洋散骨に法的な規制はありません。墓地や埋葬法を定めた『墓地、埋葬等に関する法律』に散骨の記載がないのです。
かつては「遺骨遺棄罪」に抵触するのではないか? という議論もありましたが、法務省は1991年に「葬送のための祭祀のひとつとして節度を持って行われる限り遺骨遺棄罪には当たらない」との見解を示しています。
ただ、節度のある散骨を個人が判断するのは難しく、日本海洋散骨協会は海洋散骨ガイドラインを公表しました。トラブルを未然に防ぐためにもガイドラインに目を通しておくことをおすすめします。

【海洋散骨協会ガイドライン】(一般社団法人 日本海洋散骨協会)

2. 海洋散骨にかかる費用や相場

散骨する場合、2ミリ以下に粉砕した遺骨を、散骨が許可された場所で、周囲に配慮しながら撒く必要があります。個人で行うのは難しいので葬儀業者を利用するのが一般的です。
海洋散骨のサービスは、個別合同委託の3つに分けられます。原則として、他の家族(会葬者)が増えるごとに料金は下がります。
人数や予算をある程度固めてから申し込みましょう。遺骨の粉骨化や船上での食事、僧侶の同船にはオプション料金が発生する場合があります。

個別チャータープランの場合
船を貸し切り、家族や友人、知人だけのプライベートな規模で海洋散骨を行うのが、個別チャータープランです。他の会葬者に気を遣うことなく、ゆとりをもって供養できます。
人数の上限は業者によって異なりますが、50名以上が乗船するサービスもあるようです。
希望の日時が通りやすいのも、個別チャータープランのメリットといえるでしょう。料金は、約15万円~が相場となっています。

合同で行うプランの場合
2組以上の複数の家族(会葬者)が同じ船に乗り合わせて海洋散骨を行うのが、合同プランです。それぞれの家族が希望する海上の散骨ポイントに到着するたびに、セレモニーを実施していきます。
1組あたりの乗船人数が限られているため、家族や身内などの少人数でしめやかに故人を供養したい方や、低予算で散骨を考えている方におすすめです。
合同プランの料金相場は、約10万円~。一緒に乗船する家族が多ければ多いほど、料金が安くなるというメリットもあります。

代行業者に任せる場合
家族および会葬者は乗船せず、海洋散骨を丸ごと依頼する委託プランもあります。遺骨を業者に預け、自分たちの代わりに海上での散骨を代行してもらいます。
事後、海洋散骨の様子を撮影した写真、散骨を実施した海上のポイント(緯度・経度)と時間などを記録した散骨証明書が渡されます。
代行プランの料金は、5万円前後が相場です。できるだけ費用を抑えたい、乗船が難しいなど、さまざまな事情のある人におすすめしたい、シンプルな散骨プランです。

3. 海洋散骨のメリット

海洋散骨には、墓所への納骨にはないメリットが、大きく分けて3つあります。家族や遺族の経済的な負担を軽減できることお墓を巡るトラブルを避けられることそして故人の生前の希望に沿って供養できることです。

3-1. お墓を持たないので経済的な負担が少なくなる

海洋散骨の大きなメリットは、一般的な墓所に比べて費用が抑えられること。墓石の購入をはじめ、墓所の維持・管理の費用、さらには寺院へのお布施も必要ありません。
核家族化・少子化が進む現在、子ども1人あたりがお墓を管理する負担は大きくなっています。
一方、お墓そのものを持たなくて済む海洋散骨なら、遺族や子孫に負担をかける心配がなくなります。
新しいお墓を建立する場合、準備すべき費用は一般的に約200万円程度とされています。対して海洋散骨は、サービスによって違いはあるものの、10分の1程度の費用での供養が可能です。

3-2. お墓にまつわるトラブルを回避できる

お墓があっても、子や孫が遠方に移り住むこともあり、お参りしにくくなるケースが増えています。都市部に住んでいて、遠く離れた墓地へのお参りが負担となっている人も多いでしょう。そんなお墓参りの問題も、海洋散骨なら生じません。
一家や親族の中で誰がお墓を継承し、管理の責任者になるかという話もいさかいの種になりがちですが、こういったトラブルもお墓のない海洋散骨なら回避できます。

3-3. 故人の希望に沿うことができる

自分の葬儀について特に希望しないまま亡くなれば、多くの場合、遺骨はお墓に納められます。一方、海洋散骨は、故人の生前の希望に従って執り行われる場合がほとんどです。
母なる海の大自然に還りたい子孫に迷惑をかけたくない自由な世界に解き放たれたいなど、海での散骨を希望する理由は人それぞれでしょう。
いずれにしても、そういった願いを叶えてあげることで、故人を最善の方法で偲ぶことができ、見送る側にとっても心の平安につながります。

4. 海洋散骨のデメリット

海洋散骨のデメリットは、遺骨が残らない、お墓参りできないなど、メリットの裏面といえます。生前に周りの人の理解を得ることが大切です。供養は、偲ぶ側の人々の大切な行為でもあるのです。

4-1. 遺骨が残らない

遺骨をすべて海に散骨すると、後に残りません。当然のことではありますが、実際に海洋散骨を行ってから取り戻すことはできないので注意しましょう。
ただし、遺骨の全部を散骨しなければいけないというわけではありません。遺骨の一部を残して小さな骨壺に納めたり、小物やアクセサリーに加工したりと、のちの供養の手段として「手元供養」のサービスも存在します。
遺骨を残すかどうかを事前にきちんと決めたうえで、海洋散骨を行いましょう。

4-2. 墓地がなくお墓参りができない

海洋散骨のメリットとして述べた墓地がないことは、お墓参りがしたくてもできないというデメリットにもなりえます。たとえ故人がお墓を望まないとしても、本人以外の家族や親族、知人などがお墓参りをしたい、あるいは既存のお墓に納骨したいと思う場合に浮上する問題です。
海洋散骨を希望する際は、できれば生前に、身内や親しい人に希望を伝え、理解してもらうことが望ましいでしょう。

5. 海洋散骨のマナーやルール

海洋散骨に対する法的な規制はありません。ただ、遺族にとっては弔いの儀式でも、遺骨を撒くという行為を快く思わない人がいるのも事実です。
不特定多数の人が集まる場所への散骨は避けましょう。自然環境や近隣住民に配慮するのも、海洋散骨のマナーです。

・悪評がたたないように観光地や漁場、海水浴場は避ける
釣り場や温泉、絶景スポット、観光地、また多くの人で賑わう海水浴場、さらに漁船の操業区域などでの散骨は、避けたほうが無難です。
レジャーに訪れる地域や魚介類を獲るエリアは、いわば人々の生活に根ざした場所。そこでの葬送は、特に日本では好まれません。

喪服は着用しない
出航時に利用するのは公共の船着き場やマリーナがほとんどです。喪服を着た人がぞろぞろと船に乗り込めば、海洋散骨に向かうことが容易に想像され、主に楽しむために集まっている他の利用者の感情を害することになりかねません。
周囲に不快感を与えないための配慮として、喪服の着用は慎みましょう。また、船上では海水を浴びて大切な衣服を濡らすことや、大きな揺れに滑って転ぶことも考えられます。
そういった観点からも、カジュアルな平服とスニーカーのような安定した履物を着用するのが賢明です。

まとめ

近年、葬送の選択肢は増える一方です。海洋散骨も新たな選択肢のひとつといえます。
仏事に関する常識が変わってきたことを思えば、葬送の多様化は致し方ありません。
ただ、故人を見送るのは一度限り。一時の感情に流されず、後悔しない方法を選びたいものです。
経済的な理由で海洋散骨を考えておられる方は、新たな葬送の形まごころ法要もご検討されてはいかがでしょうか。
まごころ法要のお布施は12万円炉前読経から忌日法要、七回忌法要までの費用が含まれています。法要ごとのお布施や交通費も必要なし。お墓のない方は追加料金なしで合祀も可能です。
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